■お客様からのご質問
おはようございます。
先日、ヴィヨルン・ウィンブラッドのマンスリープレートをお買い求めいただいた
お客様からこんな質問をいただきました。
「自宅にあるプレートとサイズも違うし、プリントの線の太さも違うしニセモノなの?」
もちろん答えは、NO!です。
当店は、信頼のおけるアンティークショップやディーラーから買い付けておりますので
ニセモノはありません。
上の2枚の写真を比べて見てください。当店に入荷したヴィヨルンのマンスリープレート
4月です。同じ図柄なのに全く印象が違って見えますよね。
もう少し拡大して見ましょう。
これは、当時の製造技術の未熟さにあります。
当時の陶器生産工場では、手作業で行う項目がたくさんありました。
サイズが数ミリ違っていることはしょっちゅうで、
図柄をプリントする際に、インクが多めに出ているもの、反対に薄いもの
製造段階でのプリントロス、手がけで釉薬をかけたりもしているので
釉薬の掛かり具合が均一でない、貫入が入っている…数えだしたらきりがありません。
素地の色が微妙に違っていることもあります。
※貫入とは…焼成時に、陶土と釉薬の収縮率の違いにより生ずる表面のヒビ状の模様。
これは陶器自体のヒビではありませんので、ご使用に支障はありません。
和陶器では、意図的に貫入を入れて景色を楽しむものもたくさんあります。
出荷基準も現代とは全く違うということがよくわかります。
以前、こちらのマンスリープレートの入荷分にデンマークの某有名デパートの
値札がついたままのものがありました。
そのプレートのコンディションに現代の日本人の感覚である私はとても
驚きました。日本のデパートなら絶対に販売しないであろう、貫入(意図的に入れたものは別です)
が入っており、若干のプリントロス(製造段階のもの)があったのです。
日本では、どんな小さなキズでも欠陥品として扱われ、ましてやデパートに並ぶなんて
考えられません!
でも当時の北欧では、少々のキズや欠陥は問題なしとして正規品で販売していたようです。
これは北欧に限ったことではなく、イギリスのものでもドイツのものでも
入荷したものをみると同じ状況であったと推測できます。
現在の出荷基準とは異なっていたのでしょう。
そのとき、初めてヴィンテージ品について理解できたように思います。
私もお店を始めたばかりの頃は、入荷してくる商品の品質が一定でないことに
戸惑いました。日本の工業製品(画一的なもの)に慣れていたからです。
オートメーション化された工業製品に個性はありません。
個々にいろいろな表情を見せる手作り品に愛着を感じるようになったきっかけの
お品物を紹介します。
上の2枚の写真を比べて見てください。こちらはロイヤルコペンハーゲン、バッカシリーズの
ひとつ、鳥の図柄の角皿です。全く雰囲気が違いますよね。
でも、型番号2883 パターン番号787 という全く同じ作品です。
こちらは、Jette Gerber がデザインしたものを絵付師達がペイントしていきます。
当時は、大らかな時代だったのですね。ある程度の決まりごとを除けば絵付師たちの
個々の個性によって作品が生み出されていたようです。
そのため、同じデザイナーの同じパターンの作品でも個性があるのです。
本当に面白いですよね。これは手作り品だからこそ味わえる醍醐味です。
個性を大事にする北欧人の気質に脱帽です。
最近では、北欧の有名陶器ブランドから復刻版がよく発売されています。
気軽に日常使いできるので私も愛用している一人ですが、オリジナルをご存知の方の
中にはハンドペイントの濃い薄い、個々に違うペイントの線などがなく
工業製品のためペッタリした印象で残念だとおっしゃる方もいらっしゃいます。
今でこそ、日本でも訳あり品が大人気ですが昔は欠陥品として市場に出ることなく
廃棄されていたのです。
北欧の人たちと接するとき、大らかな気質に自分のギスギスした日本人の性格に気づかされる
ことがあります。
私やペッタンさんが、品質について話し合っていると「そんなこと全く問題ないよ!」と
言われることがよくあります。
デンマーク人のペッタンさんの旦那様も私たちが気にしていることについて
理解できない様子です。
メーカーやディーラーへ問い合わせても、返事が来るのは1~2週間かかることはよくある話です。
翌日即返答!当日発送OK!みたいな言葉に慣れている私たちには信じがたい話です。
でもその気質が北欧であり、ゆったりと暮らしを大切にしている人たちなのです。
彼らを理解することで、私も少々のことではイライラしたりすることもなくなりました。
このような背景をご理解いただいて、大らかな目でヴィンテージ品を
ご注文をいただけると幸いです。
当店は、ウェブショップのみの展開なので実際にお手にとってお品物を見ていただく
ことが出来ません。そのため、お問い合わせいただければ出来る限りお答えしておりますし
必要であればさらに詳しい写真をお送りすることもあります。
また私だけではご質問にお答えできない場合、デンマークサイドへ問い合わせをし
ご納得いただけるように説明させていただいております。
どうぞ、当店のお品物で気になるもの、迷っていらっしゃるものがございましたら
お気軽にお問い合わせくださいませ!
よろしくお願いいたします。
贅沢な使い方
昨日から息子の幼稚園が始まりました。
4年制の幼稚園で3年間は持ち上がりだったので、今年年長さんになって
人生初のクラス替えです。
親はドキドキでしたが、息子は至って冷静で新しいお友達との出会いに
ワクワクしているようでした。
子供って本当に柔軟なんですね。最後の幼稚園生活が楽しい思い出になりますように!
さてさて今日の本題です。
ペタペタにはデンマークから、たくさんのヴィンテージクロスが入荷します。
ペッタンさんが布好きということもあり、可愛いもの素敵なものが入ると
買い付けてくれます。
↑ こちらはペッタンさんが買い取ろうかと悩んでいた北欧刺繍のクロス(笑)
でもペタペタのために泣く泣く諦めて送ってくれました!
薄い水色のコットン生地にクロスステッチでお花が刺繍されています。
普通、クロスステッチは目の粗い生地に生地の目を数えながら刺していきます。
でもこちらのクロスは普通のクロスなので刺繍するときはとても大変だったと思います。
デンマークでは、ダイニングテーブルにはクロスをかけます。
もちろん日本でもクロスをかけますが、撥水加工が施してあるものや布のクロスの
上に汚さないために透明なビニールクロスかけたりするご家庭もあるでしょう。
実際、私の実家や主人の実家ではそのようにしていました。
でもデンマークの家庭では、基本的にどんなに手の込んだ刺繍のクロスでも
ビニールクロスはかけません。
そのためシミや蝋(食卓でキャンドルを灯すことが常なので)の落ちた跡が
残ることがしばしばです。
私だったら、一生懸命時間をかけて作った刺繍のクロスを直に使うなんて
食べこぼしを考えたら恐ろしくて出来そうにありません(><;)
デンマークの人たちは、本当に贅沢にクロスを使っているんですね。
確かに素敵なテーブルセッティングにキャンドル、温かな赤い灯り…に
ビニールクロスをかけてしまったら雰囲気壊れてしまいますよねぇ。
ということで、クロスを日常的に使うデンマークではクロスの少々のシミは
仕方のないことなんです!
ペタペタに入荷するクロスも、出来るだけ状態のよいものを選んで買い付けていますが
全くシミのないものを探すのは不可能に近いのです。
未使用のものでさえ、経年の間の保管状況などによってはシミや汚れが付いてしまうのですから。
どうぞクロスをご覧になるときには、そのような背景を思い描きながら
見ていただけたら…と願っています。
↑ こちらも素敵なお花を刺繍した大きなテーブルクロスです。
残念なことにこちらも少しシミがあるのです。
いま思うこと
東北の大震災が起きてから2週間がたちました。
被害に遭われた皆様、ご家族の皆様、謹んでお見舞い申し上げます。
地震が起きてから、自分に何が出来るだろうと考えていました。
何ができる?なんてたいしたことなんて出来ません。
大企業のように大金を寄付することも、すぐにかけつけてボランティアすることも。
支援物資を送ることも考えました。でもテレビで、支援物資が被災地に届いてから
避難所に届けられるまで10日間を要していてその間に避難所で必要なものの
ニーズが変わってしまっていることを聞き、これも思いとどまりました。
結局、これから復興していくためにはお金が必要なのだという結論に達し、
わずかながらでも復興のお手伝いが出来ればと考えています。
節電を心がけたり、スーパーへ行く回数を減らしたり小さなことだけど
自分で出来ることを実践しています。
なかなか仕事をする気にもなれなかったのだけれど、仕事をしないと
わずかなお手伝いもできないので仕事を復活しています。
復興までには、長い道のりになると思います。
私たちが前を向いて一生懸命に生活していくこと、復興に長い目でお手伝いしていくことを
考えながら毎日を過ごしていきたいと思います。
被災地の一日も早い復興をお祈りしております。